【例文あり】その職務経歴書、3秒で不採用かも?元管理職が明かす「会いたい」と思われる書き方の『哲学』

こんにちは。編集長の木原です。
私が前職の管理職時代、採用担当として数えきれないほどの職務経歴書に目を通してきました。その経験から、あなたに一つ残酷とも思える現実をお伝えしなければなりません。

多忙な採用担当者は、あなたの職務経歴書を最初の3秒から5秒で「じっくり読む価値があるか」を無意識に判断しているという事実です。

木原 雄一

多くの人が、職務経歴書を「これまでの経歴を書き記す書類」だと考えています。間違いではありません。しかし、その『業務報告』のような書類はその他大勢の中に埋もれ、あなたの本当の魅力が伝わる前に閉じられてしまうのです。
では、私が思わず手を止め「この人に、ぜひ会ってみたい」と思わされた書類は何が違ったのか。
それは、書き手の『課題解決能力』と『未来への貢献意欲』が伝わってくる、いわば『私という人材を採用すべき理由をまとめた優れた企画書』でした。
この記事では、小手先のテクニックではなくあなたのキャリアの価値を最大限に引き出し、採用担当者の心を動かすための『哲学』と明日から使える具体的な表現方法を、私の経験からお話しします。

ステップ1:すべては「職務要約」という名の『予告編』で決まる

職務経歴書の中で、私が最も集中して読むのが冒頭の「職務要約」です。ここで心を掴まれなければ、その先を熱心に読むことはありません。

NG:ただの『報告』

「〇〇株式会社で営業を5年間経験。法人向けに△△の新規開拓営業を担当していました。」

OK:心を掴む『予告編』

「〇〇株式会社にて5年間、中小企業の経営者を対象とした新規開拓営業に従事。独自の顧客分析手法で潜在ニーズを掘り起こし、担当エリアの売上を2年連続で120%達成。この『課題発見力』を活かし、貴社の〇〇事業の拡大に貢献できると考えております。」

違いは一目瞭然でしょう。OK例には、『誰に』『何を』だけでなく『どうやって』『どんな成果を上げたか』そして『その力を今後どう活かせるか』というあなたの価値を凝縮した物語があります。これが、あなたのキャリアの『キャッチコピー』になるのです。

ステップ2:実績は「数字」で語り行動は「STARメソッド」で物語にする

次に、具体的な職務経歴の書き方です。ここでは、あなたの行動を「価値」に変換する技術が問われます。

実績の基本: quantifiable(定量化可能)な「数字」で語る

「売上目標120%達成」「コストを15%削減」「業務時間を月10時間短縮」。こうした具体的な数字は、何よりも雄弁にあなたの貢献度を証明します。どんな些細なことでも構いません。あなたの行動を数字で表現できないか一度考えてみてください。

行動の応用:最強のフレームワーク「STARメソッド」

数字で示せない実績も、もちろんあります。その場合は、あなたの行動を『STARメソッド』というフレームワークで物語にしましょう。これは、私が管理職時代、部下の評価面談でも使っていた非常に強力な手法です。

S (Situation):状況 – どんな状況、どんな課題がありましたか?
T (Target & Task):目標と役割 – その中で、どんな目標を掲げましたか?
A (Action):行動 – 目標達成のために、具体的にどんな行動を起こしましたか?
R (Result):結果 – その行動の結果、どんな変化が生まれましたか?

例えば、「業務フローを見直した」という経験をこのフレームワークに当てはめてみましょう。

【例文】
(S)チーム内の進捗管理がExcelで行われ、報告漏れが頻発していました。(T)私は、この確認作業の手間を削減し、報告ミスをゼロにすることを目標としました。(A)そこで、無料の共有ツールの導入を提案し、使い方マニュアルを自主的に作成してチームに展開しました。(R)結果、チーム全体の確認作業が月間約10時間削減され、報告漏れもなくなりました。』

こうするだけで、あなたの課題発見能力と主体的な実行力が生き生きとした物語として伝わるのです。

あわせて読みたい:この「物語」の元となるエピソードが見つからないと感じていませんか?
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ステップ3:自己PRは「未来への約束」を宣言する

最後に、自己PR欄です。ここは、過去の実績自慢の場ではありません。

自己PRとは『私のこれまでの経験と強みは必ずや貴社が抱える〇〇という課題の解決に繋がり、△△という未来を共に創り出せると確信しています』という、力強い『未来への約束』を宣言する場所なのです。

木原 雄一

そのためには、徹底的な企業研究が不可欠です。企業のウェブサイトや求人情報から「彼らが今、最も求めている人材は誰か?」を読み解き、あなたの強みがそのパズルのピースに、いかに完璧に合致するかを提示するのです。これができて初めて、自己PRはあなただけの価値を持つ「企画書」のクロージングとして機能します。

ゴールはただ一つ「会いたい」と思わせること

職務経歴書作りは、自分自身のキャリアと向き合う孤独で骨の折れる作業です。完璧を目指しすぎないでください。
この書類のゴールは、内定を勝ち取ることではありません。
たった一つ「この人に、一度会って話を聞いてみたい」と思わせること。
あなたのこれまでの頑張りは、あなたが思っている以上に価値があります。その価値を、正しい形で相手に伝わる言葉で届ける。そのお手伝いをこのメディアでこれからも続けていきたいと思っています。何かありましたら、お問い合わせフォームからご連絡頂いても大丈夫です。しっかりと内容を確認して、フィードバックします。
さあ、まずはあなたの「企画書」の第一稿を、恐れずに書き出してみましょう。

次はこちらの記事がおすすめ:最高の企画書が完成したら次はいよいよプレゼンテーション(面接)の準備です。
【面接マナーの完全版】知らないと損する受付から退室まで|元管理職が本音で解説

職務経歴書のよくある質問(Q&A)

Q.
職務経歴書は何枚くらいにまとめるのがベストですか?
A.
原則として、A4用紙2枚以内に収めるのが理想です。どんなに多くとも3枚まで。採用担当者は、何十、何百という書類に目を通します。長すぎる書類は、それだけで読む気を失わせてしまいます。伝えたいことが多い気持ちは分かりますが、情報を「要約」する能力もビジネススキルの一つだと考えてください。
Q.
手書きとパソコン、どちらで作成すべきでしょうか?
A.
特別な指定がない限り、必ずパソコンで作成してください。手書きが評価されるのは、習字の先生に応募する場合くらいです。現代のビジネスにおいて、WordやExcel、PowerPointといった基本的なPCスキルは、持っていて当たり前。パソコンで作成された読みやすく整理された書類は、あなたのITリテラシーの証明にもなります。
Q.
短期間で退職した職歴も、正直に書かなければいけませんか?
A.
はい、必ず正直にすべて記載してください。もし隠していたことが後で発覚した場合、「経歴詐称」として内定取り消しや、最悪の場合、解雇の理由になり得ます。短期離職の事実は変えられません。大切なのは、その経験から何を学び次にどう活かそうとしているのかを、面接の場で誠実に説明できるように準備しておくことです。
木村 翔

この記事の監修者

木村 翔

ヘッドハンター / 外資系コンサル出身

監修者コメント:編集長の言葉は、まさにハイクラス転職の現場そのものです。職務経歴書は単なる経歴の羅列ではなく、自分という商品を売り込むための「企画書」に他なりません。特に「数字」と「再現性のある行動」で語る視点は、年収交渉の場でも極めて強力な武器になります。

木原 雄一

編集長 / 元・東証プライム企業 管理職

はじめまして、木原 雄一です。 「今の仕事、このままでいいのかな…」かつての私も、あなたと全く同じように悩んでいました。 東証プライム企業で20年。管理職も経験し、採用する側の立場も、部下を育てる立場も経験しました。傍から見れば恵まれた環境。でも、だからこそ見えてくる「組織のリアル」と「個人の幸せ」のズレがありました。 「本当にやりたいことは、ここじゃないかもしれない」 その気持ちに蓋をするのをやめ、2025年6月末に退職。私自身が大きなキャリアチェンジを経験した当事者として、そして20年間で数多くのキャリアを見てきた先輩として、このメディアを立ち上げました。 転職は、怖くて当たり前。でも、正しい知識があれば、それは「最高の未来を選ぶための冒険」に変わります。あなたの冒険の、信頼できる地図になれたら嬉しいです。

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