「人間関係で辞めるのは逃げ?」面接で正直に話す勇気と、評価される伝え方

こんにちは。キャリアアドバイザーの高橋美咲です。「職場の人間関係がもう限界…。でも、こんな理由で転職するのは“逃げ”なんじゃないだろうか」そんな風に、一人で心をすり減らしていませんか。その気持ち、誰にも打ち明けられずにいるのなら、ここで少しだけ聞かせてください。

まず、あなたに一番伝えたいこと。それは、人間関係が理由で職場を離れる決断は、決して逃げでも、弱いことでもない、ということです。それは、あなた自身の心と未来を守るための、勇気ある一歩なのです。

問題は、その大切な一歩を、次のステージでどう語るか。この記事では、あなたの経験を無駄にせず、むしろ強みとして面接官に伝えるための、具体的な考え方と伝え方をQ&A形式でお話しします。

Q1. なぜ、面接で「人間関係が理由」と言うのはNGとされがちなの?

多くの転職情報サイトで「人間関係が理由の退職は、面接で言うべきではない」と書かれていますよね。それはなぜでしょうか。採用担当者が懸念しているのは、主に二つのポイントです。

一つは「再現性」。つまり、「この人は、うちの会社に入っても、また人間関係でトラブルを起こして辞めてしまうのではないか」という不安です。そしてもう一つは「他責思考」。「問題の原因をすべて周りのせいにして、自分を省みることができない人ではないか」という懸念です。

裏を返せば、この二つの懸念さえ払拭できれば、人間関係が理由の退職を正直に話すことは、全く問題ありません。大切なのは「何を話すか」ではなく「どう話すか」なのです。

Q2. では、どう伝えれば「評価される退職理由」になるの?

ここが一番のポイントです。あなたの経験を、単なる愚痴や不満の報告で終わらせず、「未来への貢献意欲」に繋げるためのストーリーに再構築するのです。NGな伝え方と、OKな伝え方を比較してみましょう。

NG:他責思考に聞こえる伝え方

「上司が高圧的で、正当な評価をしてもらえなかったため、退職を決意しました。とにかく理不尽な環境でした。」

OK:学びと貢献意欲を示す伝え方

「前職では、上司とのコミュニケーションスタイルに課題を感じることがありました。その経験から、指示を待つだけでなく、自ら積極的に状況を報告・相談し、チーム全体の目標達成に貢献することの重要性を痛感しました。御社のような、チームワークとオープンなコミュニケーションを重視する環境で、この学びを活かして貢献したいと考えております。」

この二つの違い、お分かりいただけますでしょうか。OK例では、過去の事実を述べつつも、そこから得た**「学び」**と、それを次の会社でどう活かすかという「貢献意欲」に話の重心が置かれています。こうすることで、面接官が抱く「再現性」や「他責思考」といった不安を払拭し、むしろ「この人は、困難な状況から学べる、成長意欲の高い人材だ」というポジティブな印象を与えることができるのです。

Q3. どうしても、うまく言葉にできません…

辛い経験を、ポジティブなストーリーに変換するのは、簡単なことではありません。もし言葉に詰まってしまったら、以下のフレームワークに沿って、あなたの経験を整理してみてください。

まず、どのような「状況」で、どんな「課題」があったのか。それに対して、あなた自身がどのように「行動」したのか。そして、その一連の経験から、何を「学んだ」のか。この4つのステップで整理するだけで、あなたの話は驚くほど客観的で、説得力のあるものになります。

大切なのは、嘘をつくことではありません。一つの事実を、どの角度から見て、どの側面を光らせて語るか、ということです。それは、あなたという素晴らしい素材を、最高の形でプレゼンテーションするための、ビジネススキルそのものなのです。

あなたに合う場所は、必ずある

人間関係の悩みは、あなたに「今の場所は、あなたに合っていないのかもしれないよ」と教えてくれる、大切なサインです。そのサインに真摯に耳を傾け、新しい場所を探す決断をしたあなたを、私は心から尊敬します。

あなたの経験は、決して無駄にはなりません。大丈夫。自信を持って、次の扉を開きましょう。その先には、あなたがあなたらしく輝ける場所が、必ず待っていますから。

木原 雄一

この記事の監修者

木原 雄一

編集長 / 元・東証プライム企業 管理職

監修者コメント:高橋さんのアドバイスは、まさに採用側が聞きたいことの核心を突いています。正直に申し上げると、人間関係が理由の退職自体を、我々が問題視することはほとんどありません。知りたいのは、そのストレスフルな状況下で、候補者がどう考え、どう行動し、何を学んだのか、という「再現性のある課題解決能力」です。この記事のOK例のように語れる候補者は、間違いなく高く評価されます。

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