こんにちは。ヘッドハンターの木村です。突然ですが、あなたに一つ質問です。「あなたの現在の年収は、あなたの市場価値と見合っていますか?」即答できないとしたら、少し危険なサインかもしれません。
多くのビジネスパーソンが、「会社からの評価」と「市場からの評価」を混同しています。居心地の良い会社で評価され、それなりの給与をもらっている。しかし、その“ぬるま湯”から一歩外に出た時、あなたの価値は一体いくらになるのか。それを知らずにキャリアを過ごすことは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。
この記事では、私が日々トップタレントたちの価値を査定する中で見えてきた、「市場価値」というものの冷徹な正体と、それを戦略的に高めていくための具体的な方法について、一切の忖度なくお話しします。
そもそも「市場価値」とは何か?その残酷な本質
まず、幻想を捨ててください。市場価値とは、あなたの頑張りやポテンシャル、ましてや人柄で決まるものではありません。それは、極めてシンプルに「あなたという人材に対する、労働市場での需要と供給のバランス」で決まります。
どれほど高いスキルを持っていても、それを求める企業(需要)が少なければ、あなたの価値は上がりません。逆に、そこそこのスキルでも、それを求める企業が殺到し、代わりになる人材(供給)が少なければ、あなたの価値は驚くほど高騰します。これが、市場の原理です。
そして、その価値を構成する要素は、大きく分けて3つの掛け算で成り立っています。それは「専門性」「経験」、そして「ポータブルスキル」です。この3つの要素を客観的に把握し、戦略的に伸ばしていくことこそが、市場価値を高める唯一の道なのです。
あなたの価値を決める3つの構成要素
では、その3つの要素を具体的に見ていきましょう。あなたのキャリアを、この3つの視点で棚卸ししてみてください。
要素1:専門性 – あなたは「何のプロ」か?
これは、特定の分野における深い知識や技術のことです。「財務」「Webマーケティング」「法人営業」「プロジェクトマネジメント」など、あなたがお金を稼ぐ上での核となるスキルです。この専門性が深ければ深いほど、希少性が高ければ高いほど、あなたの価値の土台は強固になります。
要素2:経験 – どんな「修羅場」をくぐってきたか?
専門性を活かして、実際にどのような環境で、どのような規模の、どのような課題を解決してきたか、という実績です。例えば、同じ法人営業でも「従業員10名の企業相手」と「従業員1万人のグローバル企業相手」とでは、求められる経験の質が全く異なります。困難なプロジェクトを成功させた経験、つまり「修羅場」の経験は、あなたの価値を飛躍的に高めます。
要素3:ポータブルスキル – どこでも通用する「戦闘力」
これは、特定の業界や職種に依存しない、持ち運び可能なスキルのことです。「論理的思考力」「課題解決能力」「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」などがこれにあたります。専門性や経験という武器を、いかに効果的に使いこなすかという、ビジネスパーソンとしての基礎体力、戦闘力と言えるでしょう。
市場価値を「測定」し「向上」させる具体的なアクション
自身の現在地が見えてきたら、次はいよいよ具体的なアクションです。市場価値は、知るだけでなく、自らの手で高めていくものです。
最も手軽で客観的に自分の価値を測る方法は、**信頼できる転職エージェントに相談してみる**ことです。彼らは日々、多くの企業と求職者を見ている「市場のプロ」です。あなたの経歴書を見た彼らが、どのような求人を、どのくらいの年収で紹介してくれるか。それが、あなたの現在のリアルな市場価値の一つの答えです。
注意してほしいのは、一つのサービスや一人のエージェントの意見を鵜呑みにしないことです。必ず複数のエージェントと面談し、多角的な視点から自分の価値を判断してください。そこで初めて、客観的な現在地が見えてきます。
そして、自身の弱点が見えたなら、それを補うための行動を起こしましょう。現職で新しいプロジェクトに手を挙げて「経験」を積む。書籍やオンライン講座で「専門性」を深める。あるいは、副業に挑戦して、社外でも通用する「ポータブルスキル」を磨く。行動したものだけが、自らの価値を高めることができるのです。
市場価値は、あなたを自由にする翼だ
自分の市場価値を正しく知ることは、時に厳しい現実を突きつけられるかもしれません。しかし、それは決してあなたを縛るためのものではありません。むしろ、あなたを「会社」という一つの籠から解き放ち、どこへでも飛んでいけるようにするための「翼」なのです。
市場価値とは、未来の選択肢の多さそのものです。ぜひ、今日のこの記事をきっかけに、あなた自身の価値と向き合ってみてください。その先に、今よりもっと自由なキャリアが待っているはずです。

監修者コメント:木村さんの語る「市場価値」の定義は、私が管理職として常に意識していたことそのものです。社内での評価が高い社員が、必ずしも社外で通用するとは限りません。この記事で示されている3つの要素(専門性・経験・ポータブルスキル)の視点で、定期的に自身のキャリアを棚卸しすることが、変化の激しい時代を生き抜く上で不可欠です。