こんにちは。キャリアアドバイザーの高橋美咲です。人材サービス会社で働いていた頃、入社して数ヶ月で「こんなはずじゃなかった」と浮かない顔で相談に来られる方に、何度もお会いしました。彼らの多くが、企業研究を少しだけ怠ってしまっていたのです。
求人サイトに並ぶ、きらびやかな言葉の数々。その一つひとつに、実は「表の顔」と「裏の顔」があります。この記事では、求人票の裏側を読み解き、あなたにとって本当に「優良な企業」を見つけ出すための、リアルな視点と具体的な方法をお伝えします。
ステップ1:求人票の「言葉の温度」を見極める
企業研究の第一歩は、もちろん求人票のチェックから始まります。しかし、ただ文字を追うだけではいけません。その言葉が持つ「温度」や「背景」まで想像することが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。
例えば、給与欄に書かれた「みなし残業代」「固定残業代」の文字。これは、一定時間分の残業代が給与に既含まれているという意味ですが、同時に「そのくらいの残業は常態化している可能性が高い」というサインでもあります。もちろん、効率的に働いて定時で帰る社員もいるでしょう。しかし、企業がわざわざこの制度を設けている理由を考えてみる必要があります。
特に注意したいのが「未経験歓迎!学歴不問!」といった、一見すると門戸が広く魅力的な言葉です。本当にポテンシャルを重視している素晴らしい企業も多い一方で、誰でもできる仕事で人の入れ替わりが激しい、という可能性も残念ながら否定できません。
大切なのは、これらの言葉だけで判断するのではなく、「なぜこの言葉を使っているのだろう?」と一歩引いて考え、他の情報と合わせて総合的に判断するための「仮説」を持つことです。
ステップ2:企業の「日常」を覗き見る情報収集
求人票が「お見合い写真」だとすれば、次に見るべきは企業の「日常の姿」です。これは、企業の公式サイトや口コミサイトから垣間見ることができます。
企業の公式サイトで私が必ずチェックしていたのは、「ニュースリリース」や「お知らせ」のコーナーです。最終更新日が数年前で止まっているサイトと、毎週のように新しい情報が発信されているサイト。どちらが活気のある会社かは、一目瞭然ですよね。企業の「体温」や「勢い」が、ここにはっきりと表れます。
また、社員の口コミサイトは非常に有用な情報源ですが、一つだけ注意点があります。それは、「事実」と「個人の感情」を分けて読むこと。「残業が月平均40時間だった」は事実ですが、「残業が多くて最悪だった」は個人の感情です。あなたは、その事実をどう捉えるでしょうか。客観的な情報を集め、自分自身の価値観で判断することが何よりも重要です。
ステップ3:自分だけの「優良企業」を定義する
ここまで、いわば「ブラック企業を避ける」という守りの企業研究についてお話ししてきました。しかし、本当に大切なのはここからです。それは、あなたにとっての「優良企業」とは何かを定義し、それを見つけにいく「攻め」の企業研究です。
世間一般で「良い会社」と言われる企業が、あなたにとっても良い会社とは限りません。あなたが仕事に求めるものは何ですか?自己分析で見つけた「キャリアの軸」を思い出してください。「成長できる環境」ですか?「プライベートとの両立」ですか?それとも「社会貢献性」でしょうか。
その軸を定規として、企業の理念や事業内容、働き方の制度を一つひとつ照らし合わせていく。この作業を経て初めて、「この会社は、私の価値観と合っているかもしれない」という、血の通った志望動機が生まれるのです。
最終的に、その答え合わせをするのが「面接」の場です。面接官からの質問に答えるだけでなく、あなたからも「逆質問」という形で、企業のリアルな部分に切り込んでいきましょう。「入社後、私が担当するチームはどのような雰囲気ですか?」といった具体的な質問は、あなたの本気度と入社後の活躍イメージを採用担当者に強く印象付けます。
納得できる一社に、必ず出会える
求人探しと企業研究は、まるで宝探しのようです。たくさんの情報の中から、自分だけのお宝(=納得できる一社)を見つけ出す作業は、時に根気がいります。でも、正しい地図とコンパスがあれば、必ず目的地にたどり着けます。
焦らず、一つひとつの情報と丁寧に向き合ってみてください。あなたのその真摯な姿勢が、最高の未来を引き寄せるはずです。

監修者コメント:僕自身、最初の転職では企業の「言葉」に踊らされ、失敗しかけた経験があります。高橋さんの言う通り、求人票の言葉を鵜呑みにせず「なぜ?」と一歩引いて考える視点は本当に重要です。特に口コミサイトの「事実」と「感情」を分けて読む方法は、必見ですね。