こんにちは。キャリアアドバイザーの高橋美咲です。無事に内定を得て、いよいよ退職の意思を会社に伝えた後、あなたが向き合うことになるのが「退職届」の作成です。たった一枚の書類ですが、いざ書くとなると「これで本当に合っている?」と不安になりますよね。
「退職願」や「辞表」とは、一体何が違うのでしょうか。パソコンで作成しても失礼にあたらないのでしょうか。そして、完成した書類は、どんな封筒に入れて、どう渡せばいいのか。考え始めると、次から次へと疑問が湧いてくるものです。
ご安心ください。この記事では、そんなあなたの不安をすべて解消するため、退職届の書き方を、具体的な見本と共に、ステップ・バイ・ステップで徹底的に解説します。
「退職届」「退職願」「辞表」決定的違いとは?
まず、混同しがちなこの3つの書類の違いを、明確にしておきましょう。あなたが提出すべきなのは、ほとんどの場合『退職届』です。
退職届
退職することが『確定』した後に、会社へ届け出る書類。「〇月〇日に退職します」という、覆すことのできない強い意思表示です。
退職願
退職を『お願い』するための書類。「退職させていただけますでしょうか」と、会社の承認を求めるニュアンスがあり、提出後に撤回できる可能性があります。
ちなみに『辞表』は、役員以上の役職者や公務員が辞職する際に提出するもので、一般の社員が使うことはまずありません。つまり、上司との間で退職日が確定したあなたが提出すべきは、明確な意思表示である『退職届』なのです。
あわせて読みたい:円満な退職交渉の進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【円満退社】退職の伝え方、間違えていませんか?元管理職が明かす、上司が応援したくなる切り出し方
【見本あり】退職届の書き方(PC・手書き共通)
特別な指定がない限り、退職届はパソコンで作成しても、手書きで作成しても、どちらでも構いません。記載すべき内容は共通です。以下に、横書きのテンプレートをご紹介します。
退職届
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇 殿
所属部署名
〇〇 印
私儀
この度、一身上の都合により、来たる令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします。
以上
書き方のポイント解説
『表題』:「退職届」と中央に大きく記載します。
『提出日』:実際に提出する日付を記載します。
『宛名』:会社の最高責任者(通常は代表取締役社長)の役職と氏名を、敬称『殿』をつけて記載します。
『所属と氏名』:あなたの所属部署と氏名を書き、名前の下に捺印します。
『私儀』:「わたくしぎ」と読みます。書き出しに、行の右下に記載するのがマナーです。
『退職理由』:自己都合退職の場合は、詳細を書く必要はありません。『一身上の都合により』とだけ記載するのが一般的です。
『退職日』:上司と合意した、最終出社日ではなく『退職年月日』を正確に記載します。
封筒の選び方・書き方・渡し方のマナー
完成した退職届は、裸で渡すのはマナー違反です。必ず封筒に入れましょう。
『封筒の選び方』:白無地の封筒で、郵便番号の枠がないものを選びます。サイズは、退職届の用紙を三つ折りにしてきれいに入る「長形3号」が一般的です。
『表書き』:封筒の表面、中央に「退職届」と黒のボールペンか万年筆で書きます。
『裏書き』:裏面の左下に、自分の所属部署と氏名を記載します。
『入れ方』:書類の書き出しが右上にくるように三つ折りにし、封筒の裏側から見て、書き出しが右上になるように入れます。封はしなくても構いません。
『渡し方』:直属の上司に、手渡しするのが基本です。感謝の言葉と共に、両手で丁寧に渡しましょう。
最後のけじめを美しく
退職届は、あなたがその会社で働く、最後の公式な手続きです。これまでお世話になった会社への感謝と敬意を示す、最後の機会でもあります。
この一枚の書類を、ビジネスマナーに則って完璧に仕上げることで、あなたの社会人としての評価は、去り際においてさえも高まるのです。気持ちよく次のステージへ進むために、最後のけじめを、美しく締めくくってください。
退職届のよくある質問(Q&A)
退職届は、会社指定のフォーマットを使わなければいけませんか?
もし会社に指定のフォーマットがある場合は、そちらを優先して使用するのが最もスムーズです。就業規則を確認するか、人事部に問い合わせてみましょう。特に指定がない場合は、この記事で紹介しているような、一般的なテンプレートを使用して全く問題ありません。
上司が退職届を受け取ってくれません。どうすればいいですか?
非常に稀なケースですが、万が一そのようなトラブルがあった場合は、さらにその上の上長や、人事部に相談しましょう。それでも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で会社宛に郵送するという最終手段もあります。これは法的に「退職の意思表示をした」という証明になります。まずは、直属の上司との対話を試みることが第一です。
退職届を提出した後、有給休暇を消化することはできますか?
はい、有給休暇の取得は労働者の権利ですので、もちろん消化できます。退職日までの残りの出勤日数と、残っている有給日数を計算し、引継ぎのスケジュールと合わせて、上司と円満に相談して消化の計画を立てるのが理想的です。

監修者コメント:高橋さんの解説は、まさに完璧なビジネスマナーそのものです。管理職として、退職届の形式自体を問題にすることは稀ですが、この記事で示されているような丁寧な手順で提出されると、「この人物は、最後まで責任感のある素晴らしい人材だった」という記憶が強く残ります。去り際の美学は、あなたの未来の評判を創るのです。