こんにちは。ライターの佐藤拓也です。この記事を読んでいるあなたはもしかしたら、3年前の僕とそっくりな悩みを抱えているのかもしれません。「今の仕事に大きな不満はない。でも、このままでいいんだろうか…?」
新卒で入社した大手メーカー。安定した給与、充実した福利厚生、立派な肩書き。客観的に見れば、何一つ文句のない環境でした。でも、僕の心はいつも曇っていました。歯車の一つとして働き続ける日々に、「本当にこれがやりたかったことなのか?」という問いが、日に日に大きくなっていったのです。
これは、そんな僕がもがき苦しみながらも自分らしいキャリアを見つけ、未経験でWeb業界への転職を成功させるまでのリアルな体験談です。
第一章:違和感の正体と、空っぽの「やりたいことリスト」
転職を決意したものの、僕はすぐに壁にぶつかりました。「じゃあ、何がしたいんだ?」と自問しても、何も答えが出てこないのです。自己分析の本を読み漁り「やりたいことリスト100」を作ろうとしても、20個も書けずにペンが止まってしまう。そんな自分が情けなくて、焦りだけが募っていきました。
今思えば、僕は『やりたいこと=華やかな職種や役職』だと思い込んでいたのです。でも、本当の『やりたいこと』はもっと自分の内側にある動詞の中に隠れていました。
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【転職の軸の作り方】もう迷わない。キャリアのプロが教える「Will-Can-Must」自己分析
【深掘り】なぜ、大手メーカーで『安定』を感じられなかったのか
周りからは「もったいない」と何度も言われました。確かに、会社の業績は安定していました。しかし、僕個人のキャリアは、本当に安定していたのでしょうか。
僕が身につけていたのは、その会社でしか通用しない、極めて専門的で閉じた知識と社内調整のスキルでした。市場価値という視点で自分を見たとき、僕は愕然としました。「会社の看板がなくなったら、自分には何が残るんだろう?」その恐怖こそが、僕が感じていた違和感の正体だったのです。
第二章:「好き」ではなく「苦じゃないこと」という発見
途方に暮れた僕は、発想を180度変えてみることにしました。「やりたいこと」を探すのをやめ「やっていて苦じゃないこと」を書き出してみたのです。メーカー時代の僕の仕事は、生産ラインの細かな改善提案でした。正直、地味で目立たない仕事です。でも、データを分析し、仮説を立て、小さな改善を繰り返すことで少しずつ効率が上がっていくプロセスは、不思議と全く苦ではありませんでした。
その時、ふと気づいたのです。僕は『何かをゼロから創り出す』ことよりも『既にあるものを、もっと良くしていく』ことに喜びを感じるタイプの人間なんだと。これが、僕のキャリアにおける最大の発見でした。
第三章:Web業界との出会い、そして覚悟
「改善」を軸に業界を見渡した時、Web業界が目に留まりました。ユーザーの反応がデータとしてダイレクトに返ってきて、それをもとに高速でサービスを改善していく。僕がメーカーでやっていたことと、本質は同じではないか。いや、もっとスピード感があって面白そうだ。心が初めて躍りました。
もちろん、未経験での挑戦です。ITの知識はゼロ。未経験からの転職についての関連記事を穴が開くほど読み込み、自分の「改善経験」がWeb業界で求められる「課題解決能力」とイコールであることを必死にアピールしました。何度も落ちましたが、諦めませんでした。
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その職務経歴書、3秒で閉じられていませんか?私が管理職時代に「会いたい」と思った書類の書き方
最終章:そして、今。
Web業界に転職して2年。僕は今、サービスのUI/UX改善を担当しています。ユーザーの行動データを分析し、仮説を立て、ABテストを繰り返す。メーカー時代に培った地道な改善能力が、最高の形で活かされていると感じます。
何より嬉しいのは、自分の仕事の結果が、ユーザーの「使いやすくなった」という声として、すぐに返ってくることです。あの時感じていた心の曇りは、もうどこにもありません。
もし、昔の僕と同じように「やりたいことがない」と悩んでいるなら、伝えたいことがあります。大丈夫。やりたいことは、最初から見つからなくてもいい。自分の『心が少しだけ動くこと』『やっていて苦じゃないこと』に目を向けて、まず一歩だけ、踏み出してみてください。やりたいことは、その行動の先に、きっと見つかります。
佐藤 拓也
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この体験談のよくある質問(Q&A)
未経験での転職活動、具体的に何社くらい応募しましたか?
正直に言うと、30社以上に応募し、面接まで進めたのは5社ほどでした。未経験の壁は、想像以上に厚かったです。でも、落ちるたびに職務経歴書や面接での話し方を見直し、改善を繰り返しました。そのプロセス自体が、自分を成長させてくれたと思っています。
転職して、年収はどうなりましたか?
転職直後は、前職とほぼ同じくらいの年収でした。しかし、Web業界は実力主義の世界です。成果を出すことで評価され、2年経った今では、前職の同期よりも高い給与をいただけるようになりました。何より、やりたい仕事で正当に評価される、という満足感が大きいです。
メーカーでの経験で、今も役立っていることは他にありますか?
品質管理の考え方です。メーカーでは、一つのミスが大きな問題に繋がるため、徹底した品質管理のプロセスを学びました。この「バグを出さない」「ユーザーに迷惑をかけない」という基本姿勢は、Webサービスの開発現場でも、非常に重要なスキルだと感じています。

監修者コメント:佐藤さんの体験談は、キャリアカウンセリングの観点からも非常に示唆に富んでいます。特に「やりたいこと(Will)」が見つからない時に、「できること(Can)」や「価値を感じること(Value)」から自己理解を深めていくアプローチは、キャリア理論における王道です。彼のストーリーは、「やりたいこと探し」に疲れてしまった多くの20代にとって、大きな勇気とヒントを与えてくれるでしょう。