【転職の軸の作り方】もう迷わない。キャリアのプロが教える「Will-Can-Must」自己分析

こんにちは。キャリアコンサルタントの田中由紀です。「自己分析が重要だと分かってはいるけれど、具体的に何をどうすればいいのか分からない」多くの転職相談で、私はこの切実な声を聞いてきました。

ただやみくもに自分の過去を振り返っても、なかなか「転職の軸」という確かな羅針盤は見つかりません。そこで今日は、私がキャリアカウンセリングの現場で必ず用いる、シンプルでありながら極めて強力なフレームワーク、『Will-Can-Must』をご紹介します。

この3つの輪を正しく理解し、整理することで、あなたの心は驚くほどクリアになり、進むべき道がはっきりと見えてくるはずです。

キャリアの幸福度を決める、3つの輪とは?

『Will-Can-Must』とは、あなたのキャリアを構成する3つの重要な要素を指します。

『Will』は、あなたが『やりたいこと』や『ありたい姿』。情熱や価値観、興味関心の世界です。
『Can』は、あなたが『できること』。これまでの経験で培ってきたスキルや知識、実績を指します。
『Must』は、あなたが『すべきこと』。企業や社会から求められる役割や責任、ミッションのことです。

転職における成功、そして入社後の幸福度は、この3つの輪が、できるだけ大きく重なる会社や仕事を見つけられるかどうかで決まります。さあ、あなたの3つの輪を、一つずつ解き明かしていきましょう。

ステップ1:あなたの『Will(やりたいこと)』を見つける旅

『やりたいことが分からない』。これは、当然の悩みです。最初から明確な人の方が稀なのですから。Willを見つけるヒントは、大げさな夢物語の中ではなく、あなたの日常の『小さな心の動き』の中に隠されています。

まず、静かな時間を作り、以下の質問に正直に答えてみてください。

『これまでの仕事で、時間を忘れるほど夢中になった瞬間はいつでしたか?』
『どんなニュースや本を読むと、自然とワクワクしますか?』
『誰かのどんな姿を見て「羨ましい」「こうなりたい」と感じますか?』

大切なのは、名詞(職種名)ではなく、動詞(行動)で考えることです。「人に教えること」「黙々と分析すること」「チームで何かを創り上げること」。あなたのWillは、そうした具体的な『行動』の中にこそ、その核があります。

ステップ2:あなたの『Can(できること)』を棚卸しする

次に、あなたの武器である『Can』を整理します。これは、単なる業務経歴のリストアップではありません。その経験を通じて、あなたがどんな『価値』を提供できるのかを言語化する作業です。

例えば、「営業として資料作成をしていた」という経験。これを「聞き手のレベルに合わせて複雑な情報を整理し、分かりやすい言葉で伝えることができる」と言い換えれば、それは営業だけでなく、マーケティングや企画、人事など、あらゆる職種で通用する『ポータブルスキル』になります。

自分では「当たり前」だと思っていることほど、他人から見れば「すごいスキル」であることは珍しくありません。一人で考え込まず、信頼できる友人や家族に「私の強みって何だと思う?」と聞いてみるのも、非常に有効な方法です。

ステップ3:『Will』と『Can』を『Must(すべきこと)』に繋げる

最後のステップです。あなたが見つけ出した『Will』と『Can』が重なる領域。それが、あなたが最も輝ける可能性を秘めた場所です。その可能性を、今度は企業が求める『Must』と結びつけていきます。

気になる企業の求人票やウェブサイトを読み込み、「この会社が、今まさに解決したいと願っている課題(Must)は何か?」を探し出してください。そして、「私のWillとCanは、その課題解決にこう貢献できるはずだ」という、あなただけのストーリーを組み立てるのです。

このストーリーこそが、あなたの志望動機であり、自己PRの核となります。これが語れるようになった時、あなたの転職活動は、ただの「自分探し」から、企業と対等なパートナーシップを結ぶための「戦略的な交渉」へと進化します。

焦らず、一つひとつの輪と丁寧に向き合ってみてください。その先には、あなたが心から納得できるキャリアが、必ず待っています。

木原 雄一

この記事の監修者

木原 雄一

編集長 / 元・東証プライム企業 管理職

監修者コメント:田中さんの解説は、私たちが面接で候補者の何を見ているのか、その本質を的確に言語化してくれています。私たちが採用したいのは、まさにこの『Will-Can-Must』の重なりが大きい人材です。特に、自社の『Must』を深く理解し、自身の『Will/Can』をそれに結びつけて語れる候補者に出会った時は、間違いなく「採用したい」と感じます。

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