【元社員が語る】未経験からSIerは『やめとけ』は本当?30代でも目指せるリアルと入社後の現実

こんにちは。ITキャリア専門ライターの鈴木です。「未経験からIT業界へ」と考えた時、多くの人が最初に目にするのが『SIer(エスアイヤー)』という選択肢ではないでしょうか。研修制度が充実しており、未経験者も積極的に採用している。そんな求人情報を、あなたも一度は見たことがあるかもしれません。

しかし同時に、「SIerはやめとけ」という、少し怖い言葉も聞こえてきますよね。一体、どちらが本当なのでしょうか。私自身、新卒でSIerに入社し、多くの未経験中途入社の同僚たちと共に働いてきました。

この記事では、そんな元SIerの視点から、未経験からSIerを目指すことのリアルな『光』と『影』、そして、あなたが後悔しないための具体的なアクションプランを、忖度なくお話しします。

結論:未経験からSIerは「人によるが、有力な選択肢」である

まず結論から申し上げます。「SIerはやめとけ」という言葉は、半分は正しく、半分は誤解です。正確に言うならば、『目的意識のない人にとっては厳しい環境だが、明確な目的を持つ人にとっては、キャリアの最高のジャンプ台になり得る』というのが、私の答えです。

SIerのビジネスモデルは、顧客企業のシステム開発を請け負うこと。つまり、ITのプロとして、顧客の課題を解決する仕事です。そこには、華やかなイメージとは裏腹の、地道で泥臭い仕事もたくさんあります。その現実を受け入れ、スキルを盗む覚悟があるかどうかが、成否を分けるのです。

未経験者がSIerで最初にぶつかる「3つの現実」

では、具体的にどんな現実が待っているのか。入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、3つのポイントを知っておきましょう。

1. 最初の仕事は『テスト』と『資料作成』

入社後すぐ、ドラマのようにプログラミングでシステムを構築する…ということはまずありません。最初の仕事は、先輩が作ったシステムの動作をテストする『テスター』業務や、議事録・設計書といった『ドキュメント作成』が中心になります。これは、システムの全体像と、開発の厳しいルールを学ぶための、極めて重要な下積み期間です。

2. 求められるのは『ITスキル』だけではない

SIerの仕事は、顧客との対話から始まります。そのため、プログラミング能力と同じくらい、顧客の要望を正確に聞き出す『ヒアリング能力』や、チームメンバーと円滑に連携するための『コミュニケーション能力』が求められます。文系出身者が多く活躍しているのは、このためです。

3. 会社の規模によって『働き方』は全く違う

一口にSIerと言っても、数万人規模の大手独立系から、メーカー系のSIer、そして数名のベンチャーまで様々です。大手は大規模な社会インフラを支えるやりがいがありますが、歯車の一つになりがち。中小は若いうちから裁量を持てますが、教育制度が整っていないことも。自分がどんな環境で成長したいのか、企業研究が非常に重要になります。

あわせて読みたい:企業研究の具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
求人票の「未経験歓迎」は信じていい?“自分に合う会社”を見抜く企業研究のリアル

それでもSIerを目指す価値はあるのか?

ここまで厳しい現実をお話ししましたが、それでも私は、明確な目的意識を持つ人にとって、SIerは素晴らしいキャリアの出発点になると確信しています。

なぜなら、大手SIerで経験を積めば、社会の基幹システムがどう動いているかという『大規模開発のノウハウ』と、どんな業界でも通用する『プロジェクトマネジメントの基礎』という、極めて価値の高いスキルを身につけることができるからです。

SIerで3年間、必死で食らいついてスキルを身につけ、その経験を武器に、事業会社の社内SEや、Web系のエンジニアへとステップアップしていく。これは、未経験からIT業界で成功するための、非常に有効なキャリア戦略の一つなのです。

鈴木 健太

後悔しないために、今すぐやるべきこと

もしあなたが本気でSIerを目指すなら、今すぐやるべきことは一つです。それは、Progateやドットインストールのような学習サイトで、まず1ヶ月、プログラミングに触れてみることです。

そこで「楽しい」「もっと知りたい」と感じられたなら、あなたにはエンジニアの素養があります。逆に「苦痛でしかない」と感じたなら、無理に進む必要はありません。IT業界には、エンジニア以外の仕事もたくさんあるのですから。

あなたの挑戦が、後悔のない、最高のキャリアに繋がることを心から願っています。

未経験からのSIer転職 Q&A

Q.
文系出身で、数学も苦手なのですが、本当にSIerでやっていけますか?
A.
全く問題ありません。私自身、文系出身の優秀なエンジニアを何人も見てきました。高度な数学知識が必要なのは、AI開発や研究職などごく一部です。SIerで求められるのは、むしろ顧客の要望を正確に理解し、論理的に説明する『国語力』に近いスキルです。文系ならではのコミュニケーション能力は、大きな武器になりますよ。
Q.
30代未経験からでも、本当に転職は可能なのでしょうか?
A.
可能です。ただし、20代と同じポテンシャル採用とはいきません。企業が30代未経験者に期待するのは、これまでの社会人経験で培った『マネジメント能力』や『課題解決能力』です。例えば、営業経験者であれば、その顧客折衝能力を活かして、ITコンサルタント寄りのポジションを目指す、といった戦略が有効になります。
Q.
入社前に、何か資格は取っておいた方が有利ですか?
A.
資格が内定に直結するわけではありませんが、学習意欲を示す上で、基本情報技術者試験(FE)やITパスポートといった国家資格は、取得しておいて損はありません。ただし、資格取得そのものが目的にならないように注意してください。企業が本当に見たいのは、資格の有無よりも、あなたが自力で何かを作り上げた経験(ポートフォリオ)です。
木原 雄一

この記事の監修者

木原 雄一

編集長 / 元・東証プライム企業 管理職

監修者コメント:鈴木さんの解説は、SIerという業界のリアルを見事に捉えています。発注側の我々が未経験者を受け入れるSIerに求めていたのは、ITスキル以上に、私たちのビジネスを理解しようとする『誠実な姿勢』と、困難な課題にも食らいつく『責任感』でした。この記事で語られている下積み期間を乗り越えた人材は、間違いなく市場価値の高いビジネスパーソンに成長します。

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